セルフ葬とは何?費用は?法律的に葬儀社を利用しないのは問題なし?
セルフ葬とは、DIY葬などともいわれるお見送りの方法です。
ご遺体の移動、死亡の届け出から火葬までの全ての手続き、棺や骨壺の手配などを全て自分の手で執り行う葬儀です。
一般的に、葬儀は(直葬であっても)専門の業者を介して手続きや準備を行い、実施するものと考えられていますが、やろうと思えば業者の手を借りずとも自分で出来る(可能性がある)のです。
法律的には、葬儀社に依頼しなくても、法的な手続き(死亡届や火葬・埋葬許可)をきちんとクリアしておけば問題はありません。
セルフ葬に必要になる費用は?
一般的な葬儀にかかる平均的な金額が120~150万円と言われています。
セルフ葬にかかるだろう費用の内訳を見てみましょう。
死亡診断書
病院で亡くなった場合、もしくはかかりつけのホームドクターなどがいた場合にはそちらに依頼して作成していただくのですが、保険外になりますので、概ね5,000円ほどになります。
ただし、突然死など病院以外で亡くなった場合には行政解剖などの対象になる場合もあり、『死体検案書』を発行していただくことになり、費用も10,000〜30,000円となる可能性があります。
遺体の安置に関する費用
従来の葬儀では、病院からは可及的速やかに安置場所に搬送するように指示があります。
また、火葬は24時間以上経過しないと行えません。
火葬場の予約も、時期によりますが『明日すぐ』と取れるわけではありません。
外部に安置場所を借りるのでなければ、自宅に連れ帰ることになります。
そのために必要なのはご遺体の保存用のドライアイス、そして棺です。
実際には看取ってからエンゼルケア(ご遺体の清拭などのケア)を行い、安置場所にお連れしてから納棺をするのですが、ご自宅に連れ帰るのであれば、病院で納棺してしまうケースもあるようです。
この場合、棺とそれに付随する布団や小物などが必要になりますが、これらに関しても、大手通販サイトで購入することが可能、その価格は20,000円〜程度となっています。
ドライアイスは一日分で10,000円前後です。
火葬費用
公営、民営など、火葬場の運営母体によって金額が変わりますが、安くて数千円から、50,000円程度です。
しかし、その火葬中に使用する待合室の使用料なども関わってきますので、そうした部屋を使用しないのであれば、予め火葬場と調整しておく必要がありますね。
ここで必要なのが骨壺です。
サイズやスタイル、素材によって様々ですが、5,000円〜数万円というものが多く、大手通販サイトでも購入可能です。
多くの場合、葬儀・火葬・埋葬には健康保険などからいくばくかの補助が出ますので、それを差し引きしたうえで、実費は最低ラインで100,000円を切るくらい、と考えてよいと思います。
さらに、この見積もりは『無宗教』で執り行うことが前提なので、お寺様へのお布施などは含まれていません。
セルフ葬の大まかな流れや知っておきたい注意点って?
まず、亡くなられた場合には必要な書類(死亡診断書)を役所に持っていき、死亡したことを申告して必要な手続きを行います。
その時に、火葬許可証を受け取ります。
ご遺体を病院に引き取りに行き、自宅などに安置、棺に入れた状態で火葬場に搬送し、火葬許可証を提出して、火葬料金を支払い、出棺、火葬、収骨、という流れになるのです。
セルフ葬が難しい場合には無理をしない
まず、ご遺体の取り扱いは実はとても難しいものであるということを理解しておきましょう。
故人さまが感染症などで亡くなられた場合や、事故などで損傷が激しい場合には、その処理には専門的な知識が必要になります。
また、時期的にも真夏にはきちんと温度管理して安置できない場合にはご遺体が傷みます。
こうした場合はきちんと葬儀社に任せた方が安全です。
必要な書類は必ず携行する
ご遺体の扱いというのはとてもデリケートなものです。
専門の搬送車両(霊柩車含む)でない車両(ワンボックスカーや軽トラック)にご遺体または棺を載せて走行すること自体が一般的ではなく、場合によっては犯罪性も疑われる事態があることを予想しておきましょう。
必要な書類はかならず携行し、警察の検問や、見とがめられた場合にすぐ説明できる体制をとっておきましょう。
できれば二人以上で搬送するのが望ましいですね。
レンタカーは使わない
セルフ葬の経験談で『レンタカーを使った』という話も沢山出ていますが、レンタカーの業者はそうした使用を嫌います。
ご遺体から漏れた体液などで汚れたり、臭いがつくこともありますし、何かあった時に犯罪性を疑われてトラブルになる可能性もあるのです。
そうしたことを予想して、約款に『ご遺体を載せない』という項目が掲載されている場合もあります。
基本的に、レンタカーを使うのは止めましょう。
お墓に入れない…?
故人さまとそのご一家に菩提寺があり、そこにお墓がある場合など、もし葬儀に際してお寺様にお経をあげて頂くなどの司式をお願いしなかった場合には、お墓に納骨することを断られる可能性があります。
お寺様にお世話になることについてはお布施など、お金のことがまず念頭に浮かぶことと思いますが、お葬式に関して言えば、お通夜から葬儀、告別式の流れは仏教において大きな意味を持つものであり、そのプロセスを経てやっとお墓に入る資格ができるものと考えられているのです。
無宗教の霊園などを考えている場合にはこだわらなくても良いとは思いますが、もしお寺様との関りを無視できない場合には、きちんとご相談されたうえで葬儀のスタイルを決めていくことが大切になっていきます。
周囲の理解は得られているのか
一般的でない葬儀を行うということに於いて最大の壁は家族・親族、そして故人さまの周囲の親しい人々であると思われます。
セルフ葬の場合には、極力参加人数をそぎ落として、ごく身近な家族・親族のみとなりますが、その全員の合意がとれていいるかどうか、が問題になります。
葬儀はやり直しがききません。
強引に『セルフ葬で!』と推し進めて、周囲との軋轢が後々まで禍根となることもありますので、故人さまの関係のご一族できちんと話し合いをもち、方針を定められてから始めることが望ましいのです。